高知県幡多郡黒潮町・芝地区
高知県幡多郡黒潮町・芝地区
経緯と目的
- 芝地区は、太平洋に面した平坦地が広がる旧大方町の中心市街地の土佐入野駅付近に位置しており、町役場の庁舎が移転する予定の地区北側の高台付近では、平成11(1999)年度から国道56号のバイパスの道路整備事業が進められている。
- 芝地区では、黒潮町の呼びかけに応じて2014年から同地区自主防災組織が中心となり、地区防災計画の検討を重ねており、新国道の整備および新庁舎の移転を見据えた避難計画の検討が課題になっていた。また、明神地区と同様、夜間時や雨天時の悪条件での避難計画を検討することも課題となっていた。
- そこで、新国道の整備および新庁舎の移転を見据え、夜間時や雨天時の悪条件での避難計画を検討するため、逃げ地図づくりワークショップを開催した。
方法と内容
- 逃げ地図づくりのベースマップには、新国道の路線と新庁舎の位置を記入し、海抜20m以上の区域を緑色に色塗りして用意した。
- 夜間雨天時の避難も考慮した逃げ地図を作成したいとの地元からのニーズに応え、①避難目標地点(高台(海抜20m)と道路・階段等の交点)までの避難、②晴天昼間時の緊急避難場所(津波避難タワーを含む)までの避難、③雨天夜間時の緊急避難場所までの避難の3つの避難条件を設定し、3班に分かれて逃げ地図を作成した。
- 雨天夜間時は、大雨により河川・水路が氾濫するなどの避難障害地点はWS当日に参加者と話し合って設定することにした。また、晴天昼間時と比べて、避難開始時間が3分遅れることとし、緑(3分)の色を廃して黄緑から色塗りを開始した。また、移動時間は晴天昼間時の80%に低下するとして、物差しの革ヒモの長さを調整し、避難時間を色塗りした。
- ワークショップ当日は、来日中のイスタンブール・ビルギ大学のジハンギル・イステッキ先生が見学をし、逃げ地図づくりの手法と成果について講評していただいた。
成果と課題
- 高齢者の参加が半数近くを占めた。参加者アンケートによると、回答者のほとんどが「逃げ地図の作成は避難や防災に役立つ」「家族や知人に勧めたい」と回答していた。
- 作成された逃げ地図を比較すると、津波避難タワーの整備に伴う避難時間の短縮は明瞭であったが、地区外の津波避難タワーに避難したほうが近いとわかっていても、地区外のために遠慮しているとの意見が出された。雨天夜間時と晴天昼間時の避難時間の違いも明瞭に現れ、雨天夜間時をイメージした避難の検討の重要性が浮き彫りになった。
- 芝地区には、老朽化したブロック塀が多く、地震時にはそれらが倒壊して避難行動の障害になるとの意見がいくつも出され、ブロック塀の改善が具体的な検討課題となった。
基本情報
開催年月日:2015年10月25日(日)
開催場所:芝地区集会所
主催:芝地区自主防災組織
後援:黒潮町
参加対象:地区住民
参加者数:約50人
掲載新聞記事
高知新聞 2015年10月30日